概要
2014/10/17に “Office 365 Solo” と “Office 365 Premium” が発売されました。
ただ、少々誤解されやすいと思うのですが、決して「新しい Office のバージョンが発売された」訳ではありません。「新製品」というより、「新商品」「新サービス」というほうがよりイメージ的に伝わりやすいかと思います。
今回はこれらの商品について、簡単に説明したいと思います。
製品
“Office 365 Solo”、”Office 365 Premium”
Office 365 とは?
まず、そもそも “Office 365” とは何?、という点について簡単に説明します。
“Office 365” とは主に企業ユースに向けて以前から提供されている Microsoft のクラウドサービスで、以下のようなサービスが利用できます。
Office 製品(Word や Excel などのクラウド版)
SharePoint Online(ファイル・ナレッジ共有)
Exchange Online(メールサービス)
Lync Online(メッセンジャー)
Yammar(ソーシャルサービス)
今回発売した “Office 365 Solo” と “Office 365 Premium” は、このサービスとは異なり、デスクトップ版 Office 製品と主に個人ユースで利用される Microsoft のクラウドサービスの一部を特典付きで利用できるものと考えてもらえればいいと思います。
従来のデスクトップ製品との違いは?
次に “Office 365 Solo” と “Office 365 Premium” が従来のデスクトップアプリケーションとしての “Microsoft Office” との違いが何かを簡単にまとめてみます。
基本的に根本的なサービスのコンセプトが異なるので、ひとくくりでまとめるのはやや無理があるのですが、ざっくりとイメージがわかるように比較すると、以下のような感じになると思います。
“Office 365 Solo” と “Office 365 Premium” はお得なのか?
今回の新商品は、従来のデスクトップ製品と比べてお得なのでしょうか。
“Office 365 Solo” の場合、「使い方によってはお得」と言えるかもしれません。
明らかにお得になるケースとしては、以下のような場合があげられるでしょう。
・Windows と Mac で Office をそれぞれ同時に利用したい場合
⇒これまでは別々に購入する必要があった
・電話サポートを頻繁に利用する場合
⇒Office のプレミアムソフトウェアサポート(基本的なテクニカルサポート 14,500 円/年相当)を回数無制限で利用できる
・電話料金を少しでも節約したい場合
⇒Skype の無料通話の特典あり(日本の場合固定電話のみ)
・オンラインストレージへ大量に保管したい場合
⇒OneDrive が容量無制限
上記のように Win+Macユーザー、およびサポートを利用する頻度が高い人にとっては、Office Solo の支払いで十分以上にペイすることがわかると思います。(年間一括払いの場合は、逆に年間契約のサポート料金より安い)
ただ、Win または Mac のみのユーザー、サポートを利用しなかったり、PC も Office 製品も同じバージョンを使い続けたいユーザーにとっては、それほど魅力的な商品ではないかもしれません。そういう方については、従来のデスクトップ製品の発売も継続するようですので、そちらを購入するのがベターだと思います。
一方、“Office 365 Premium” については、Win+Mac の同時利用を除いた ”Solo” と同等のメリット(ただし、こちらは1年間限定)に加え、以下の点で大きなメリットがあると言えます。
・無償で次期製品にアップグレードできる
・利用期間制限がない
ただ、”Premium” の場合は、ライセンス的に購入した PC 1台でしか利用できないため、その PC を利用する間だけという制限が付くことになります。OS 自体にもサポート期限がありますし、物理的にも同じ PC を何年利用できるかという点を考えると、思ったよりも長い期間のアドバンテージとは言えないかもしれませんね。
それぞれ、メリット・デメリットがあるとはいえ、アップルなどを積極的に巻き込んでいくマルチデバイス戦略など、新CEO であるサティア・ナデラ氏の意志を濃く反映したユニークなサービスではないか思います。Office 製品自体には目新しさがないため、一気に広がってはいないようですが、プリインストールに組み込まれていることを考え合わせても、今後着実にユーザーは増えていくのではないかと思われます。